IT新時代に士業経営者がするべきこと 第1回 士業がITを学ばないといけない3つの理由

クラウドを導入するための投資費用は、非常に安価になっています。しかし、それを使いこなすスタッフのスキル育成や組織づくり、運用ルールの構築などにかかるコストは、投資費用の5倍以上かかると言われています。クラウドを活用するとき、最大の阻害要因とは何なのか?。
士業事務所は今、ITやクラウドを学ぶことが必要とされています。
その理由は大きく分けて3つあります。
1、生産性向上のため
2、ワークスタイル変革のため
3、ビジネスモデルの変革のため

まず1つ目の生産性向上についてお話しします。
競争が激しくなると、顧問料や報酬の水準が下がります。
また、インターネットによって情報が簡単に手に入る時代では、私たち専門サービス業の仕事の価値は低くなります。
それは私たちの仕事の価値が、お客様と私たちの知識レベルの差によって決まるからです。
競争の激化と付加価値、双方の側面からいただける報酬が減っていく中で、利益を出すためには、生産性を上げていくことが不可欠です。
そのためにIT化は非常に重要な役割を持ちます。

2つ目にワークスタイル変革についてです。
これからの40年で生産年齢人口は6割に減少します。
また、税理士試験の受験者も年々減少してきています。
ですから、事務所として多様な働き方方を許容していかなければ、人材を採用し維持することが今後ますます難しくなっていきます。
ワークスタイルには、在宅勤務やモバイルワークといった働き方があります。
モバイルワークとは、社外でノートパソコンやスマホを使って仕事をしたり、直行直帰したりなど、場所に縛られない働き方です。
それから、短時間勤務があります。
時短勤務にもいろいろあって、例えば弊社事務所では9時から14時までのスタッフもいれば、11時から18時半までのシフトのスタッフもいて、多様な勤務形態があります。
事務所にいる時間が短いと、対面でコミュニケーションをとることは難しくなりますが、チャットツールなどを使えば、時間差でコミュニケーションを取ることができます。
弊社ではこうしたクラウドツールの活用により、時間を決めて働いている社員は全スタッフのうち3割程度いますが、コミュニケーションロスは生まれません。
例えば、週に3日しか出社しなくても、クラウドで情報が共有されていれば、出社したときにそれを見て追いつくことができます。

3つ目はビジネスモデルの変革と書きましたが、大げさなものではありません。
簡単に言えば、これからは企業とお客様との接点でクラウドを活用していくことが必須になるということです。
例えば、MFクラウド会計でお客様と会計情報を共有して、相談時はチャットでやり取りをする。
これは既にビジネスモデルが変わっているのです。
ビジネスモデルを変えなければ、お客様の満足度を上げることや、事務所の生産性を上げることが、今後はますます難しくなっていきます。
こうしたビジネスモデルの変革は、すべての業種で問われています。
これからは、そうしたクラウドの活用が当たり前になっていきます。
そうしなければ、企業として競争力が下がっていくからです。
弊社ではMFクラウド会計を全顧問先の3分の2、1000件くらい導入しています。
クラウドを取り入れることで一人売上が上がり、高い人なら一人で50件、4000万円の売上があります。
以前なら一人で30件、2500万円くらいが限界だったように思います。


クラウドを導入するための投資費用は、非常に安価になっています。
しかし、それを使いこなすスタッフのスキル育成や組織づくり、運用ルールの構築などにかかるコストは、投資費用の5倍以上かかると言われています。
クラウドを活用するとき、最大の阻害要因となるのは人です。
社員にとってみれば、既存の会計ソフトで十分業務ができているのに、わざわざ新しいソフトを取り入れることにマイナスの感情を抱く人も多いと思います。
トップダウンでクラウド会計ソフトに切り替えたとしても、それを扱うためのスキルは必要ですし、組織の体制やルールが整備されていなければなりません。
弊社事務所には、クラウド会計のシステムを専任で担当し、お客様の銀行口座の連携や自動仕訳ルールの設定だけを行う担当者が3名います。
クラウド会計では、一度自動仕訳ルールを設定すれば、それ以降はその確認だけで月次決算が終わってしまうようになります。
仕訳をひとつずつ入力していく労力と比べれば、何十倍も生産性が上がります。
そのため、組織のトップが意識を切り替えて、導入を決定し、早くから使い始めて、社員さんに慣れていただく必要があります。
さらに言えば、今後はクラウドソフト同士がAPI(Application Programming
Interface=ソフトウェア同士が連携する技術)で繋がり、どんどん連携するようになっていきます。
クラウドツールを組み合わせながら活用していくスキルが今後は重要になってきます。

これから業種ごとのなど、事業者である顧客をクラウドサービスで囲い込んだプラットフォームが500はできるといわれています。
そうしたプラットフォームと連携して仕事ができるかどうかが、これからの士業において重要な課題になってくると思います。
専門家のサービスを必要とするプラットフォームが、これから新しく生まれてきます。
そこに、これからの士業のチャンスがあると考えています。

実島 誠(みしままこと)
トリプルグッド税理士法人・代表理事
トリプルグッド株式会社・代表取締役
一般社団法人士業ITアドバイザー協会・代表理事


大手監査法人等の勤務を経て、1997年10月創業。
トリプルグッドグループは、世界最大規模の従業員意識調査機関であるGreat Place To Work Institute社が主催する『働きがいのある会社』ランキング(従業員規模99名以下)にて、2014年1位となる。2012年から2016年まで、5年連続でベストカンパニーに選出される。 また2014年度『第1回 会計事務所甲子園』でも、全国決勝大会で1位となる。


著書
「一枚の『クレド』が組織を変える!」


トリプルグッドグループ
http://www.triplegood.co.jp/
一般社団法人士業ITアドバイザー協会
http://www.itadviser.jp/

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